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優秀賞受賞作品 千葉県:ゲミュートリッヒさん
週末の早朝は、上野駅、池袋駅から
週末の早朝には上野駅や、池袋駅に佇んでいることが多かった。勿論、始発電車で自宅を出る。
バブルの真っ盛り、八十年代である。 二人の子供は小学生や幼稚園、会社が休みの日には一緒に遊びたかったが、そうもいかなかった。社宅を出て住める家を探していた。
同じ世代も抽選で当たったりして、家を構えるようになり、妻からもそれをみならうよう希望する声があった。 横浜方面はすでに満杯、たまに空いていても高値で手が出なかった。千葉、埼玉、茨城、栃木方面を探すのである。
私のような境遇に近い人もいるようで、抽選会で顔を何度か顔を合わせることもあった。そして、その抽選会、ことごとく外れてしまった。最後の方には辛抱強い私も流石に疲労困憊してしまい、土曜日、日曜日も朝遅くまで家でふて寝するようになった。
「当たった」と言ってきたのは妻である。ウィークデイに私に内緒で応募してきたようだ。週末とは異なり、応募者が少ないこともあったのだろう、妻は当選したのだ。 しかし、物件の値段は高い。私が予想していたのとは違う。その旨を妻に伝えると妻は泣いて反対した。 紆余曲折あったが、結局は私が折れた。費用面でも何とか対応する方法を模索した。
早晩、新しい鉄道が開通するというのも魅力だった。 私が週末、東奔西走したのを徒労だったという向きもあるかも知れない。しかし、多くの物件をみて培った知識と見識が、妻の当選した物件を良しとする基礎になっていたと思うのである。
首を長くして待ったつくばエキスプレスが昨年の夏にやっと走り出した。家族の生活は一変し、今の生活の便利さは従前と比較にならないほどである。 若い人には「できるだけ自分の足で」とアドバイスしている。








